「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」開催
12/9(月)、御茶ノ水デジタルハリウッド大学にて、ダグラス・エンゲルバートThe Demo 51周年記念「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」を開催しました。
冒頭、NHKスペシャル「消えた弁護士たち 中国“法治”社会の現実」と「天安門事件 運命を決めた50日」を紹介し、人権派弁護士を突然拉致し、ロボトミー化する中国“法治”社会の非人間的な実態、天安門事件で多くの人民を虐殺した現中国政権が、香港市民に妥協することなどあり得ない、それが我々が直面している現実だということを紹介。
続いて、人間社会のような複雑な事象を理解し、問題解決をする鍵は、ジョブズの「Think Different」(発想を変えよう)にある。では、どう発想を変えたらいいのか? その答えは、レオナルド・ダビンチの「システム思考」(既存の常識にとらわれず、あらゆる物事を関連性・つながり・文脈で捉える思考法)にあるということを、NHKスペシャル「ダビンチ・ミステリー 第2集 “万能の天才”の謎〜最新AIが明かす実像〜」を引用しながら解説。
昨年の「IT25・50」シンポジウムで、アラン・ケイが「エンゲルバートはシステム思考をしていた」と語り、「人間・教育・メソッド・言語・道具を結合し、システムとして機能させる」ことで「人間の知性を高め」「協働して人類が直面する深刻な問題解決をはかるべき」と言っていたことの意味を理解することが、今喫緊の課題である。The Demo から51年経っても、未だに我々はそれを実現できていない。
600万年前に誕生したといわれる人類は、599万5000年の間、30人くらいの集団で狩猟採集生活をしていた。その間、子育ては集団で行い、マンションの一室で母親ひとりに任せきりにするといったような愚かなことはしていなかった。子供は集団の中で存分に遊び、遊びの中から生きる術を学んでいたのである。5000年前に文字を発明し、外部記憶装置を得たことで、人類は飛躍的に進化。祭政一致という同期システムによって古代国家を形成した。その後、500年前のグーテンベルク革命で、情報の大量複製・情報の価格破壊が可能となり、一般の人々が情報を共有できるようになった。そして、その結果として、宗教改革、産業革命、市民革命が起き、市民社会が実現したのである。一方、50年前に始まったIT革命は、パーソナルコンピュータ革命は実現したものの、まだパーソナルインターネット革命は実現していない。人類の知識活動を飛躍的に進化させた「本」「図書館」という外部記憶装置に相当するものが、まだインターネットでは実現していないのである。
2019年「「ITday Japan 2019」は、「CAS理論」「WWWの再発明」「The Internet for the Rest of Us」の3つの提案によって「パーソナルインターネット革命宣言」を行うという内容のプレゼンテーションを行いました。
「ITday」事務局では、今後とも、ダグラス・エンゲルバートThe Demoが開催された1968年12月9日を「ITday(IT記念日)」として、毎年12月9日に全世界的に「ITday」シンポジウムを開催し、一般市民による一般市民のための「IT市民社会」実現に向けて活動を続けていく予定です。「ITday」の活動趣旨にご賛同いただける方は、ぜひ、ご参集ください。
■ ITday Japan 2019