7/2日(日)「 Apple Vision Pro〜“空間コンピューティング”の新世界」開催

日本時間(JST)で2023年7月2日(日)10:00〜12:00、米国西海岸時間(UTC-7)で2023年7月1日(土)18:00〜20:00、第24回めとなる 「グローバル・デジコンサロン 024 Apple Vision Pro〜“空間コンピューティング”の新世界」を開催します。
お申し込みは、こちらから(参加費無料です)↓
 
パネリストとして、実際にApple Vision Proを先行体験したフリーランス ITジャーナリスト兼コンサルタント林信行さんをはじめ、長年にわたってApple関連の書籍や記事を手掛けるテクノロジーライターの大谷和利さん、ARに造詣の深いフリーランスプログラマでありMOSA(Multi-OS Software Artists)暫定代表を務めるいけだじゅんじさん、現実世界を忠実に仮想現実に再現するデジタルツイン・プラットフォームを開発しているSymmetry Dimensions代表の沼倉正吾さんをお招きして、「Apple Vision Proとは一体どのようなものなのか?」「Apple Vision Proは世界をどう変えるか?」「Apple Vision Proの先にある“空間コンピュータ”の将来展望」などについてディスカッションしていきたいと思います。

6/5(月)「ChatGPT & 生成AIの全体像と徹底活用ガイド:セカンドブレインを目指せ!」開催

日本時間(JST)で2023年6月5日(月)18:00〜20:00(ご注意:夕方から開催となります)、米国西海岸時間(UTC-7)で2023年6月5日(月)02:00〜04:00、第23回めとなる 「Global Digicon Salon 023 ChatGPTの衝撃(2)〜ChatGPT & 生成AIの全体像と徹底活用ガイド:セカンドブレインを目指せ!」を開催します。
お申し込みは、こちらから(参加費無料です)↓

人工知能チャットボットChatGPT(Generative Pre-trained Transformer)が世界に与えた衝撃は大変すさまじいものです。2022年11月末に登場して以来、わずか2カ月、史上最速で1億人アクティブユーザーを獲得したのを皮切りに、登場から半年以上経った今日でも、毎日のように世間を驚かす話題に事欠きません。
前回、2023年4月2日(日)に開催した「Global Digicon Salon 022 ChatGPTの衝撃〜生成AIは世界をどう変えるか?」の反響は非常に大きいものでした。
そこで今回、シリーズ第2弾として、「ChatGPTの衝撃(2)」を開催することにしました。
今回は、「セカンドブレインを目指せ!」という観点から、ChatGPT & 生成AIの全体像と徹底活用ガイドをします。というのも、ChatGPTとかBardといったチャット系生成AIは、あくまで質問に対して答えを返すだけのサブツールにすぎず、他のツールと組み合わせてはじめて知的生産性を上げられるようになるからです。たとえば「Microsoft 365 Copilot+OneNote+BIng・Edge AI」とか、「Google Workspace+Google Keep+Bard」、あるいは「Notion AI+ChatGPT Plusプラグイン」といったようなベーシックな組み合わせに加えて、画像生成AIや3D生成、音楽生成、音声認識生成AIなどさまざまなツールを用いて、自身の知的生産性を桁違いに上げる「セカンドブレイン化」テクニックを身につける必要があるのです。パネリストには、こうした「セカンドブレイン化」テクニックに精通し、ChatGPTはもとより生成AI全般に造詣の深いおふたり、Kanda News Network Inc.代表の神田敏晶さんとデジタルハリウッド大学大学院教授の橋本大也さんをお招きして、「セカンドブレイン化」の全体像と、各ツールを組み合わせた、すぐに役立つ徹底活用ガイドを紹介していきたいと思います。
なお、今回は、初めての試みとして、前回と今回のGlobal Digicon Salonの内容をベースにした電子書籍の出版も予定しています。

4/2(日)「GDS022_ChatGPTの衝撃_生成AIは世界をどう変えるか?」開催します

 

日本時間(JST)で2023年4月2日(日)10:00〜12:00、米国西海岸時間(UTC-7)で2023年4月1日(土)18:00〜20:00、第22回めとなる 「グローバル・デジコンサロン 022 ChatGPTの衝撃〜生成AIは世界をどう変えるか?」を開催します。
お申し込みは、こちらから(参加費無料です)↓
 
2022年11月30日にOpenAIが公開した人工知能チャットボット、ChatGPT(Generative Pre-trained Transforme)は、あらゆる質問に対して、あたかも人間が答えるかのような自然な語り口で詳細かつかなり正確な回答を返すことができ、正確なプログラミングコードを書けたり小説や脚本も書けるということで世界中で話題となり、2023年1月には史上最速で1億人のアクティブユーザーを獲得しました。2019年にOpenAIに出資をしAzure上で共同開発をしてきたマイクロソフトは2023年2月7日、 ChatGPTをさらに進化させ、音声でも問い合わせられる検索エンジンMicrosoft BingとWebブラウザEdgeを発表。2023年3月16日にはWord、ExcelPowerPointOutlook、TeamsなどMicrosoft 365製品群に実装して生産性を飛躍的に向上させるMicrosoft 365 Copilotを発表しました。こうしたマイクロソフトの矢継ぎ早の発表は、これまで優位に立っていたグーグルのポジションを根底からひっくり返すポテンシャルを備えており、グーグルも相当な危機感を持って対抗しようとしています。実は、ChatGPTのベースになっている生成AI(Generative AI)のルーツは、2014年、当時グーグルに在籍し、現在アップルに在籍しているイアン・グッドフェローが開発したGANs(Generative Adversarial Networks/敵対的生成ネットワーク)であり、次いで、2017年にグーグルのBrainチームが開発した大規模言語処理モデル(Transformer model)なのです。したがって、グーグルもOpen AIと遜色のない開発力を持っていたわけなのですが、マーケティング的に先手を打たれてしまい、後塵を拝することになってしまいました。とはいえ、完全に負けてしまったわけではありません。生成AIは、チャット(会話)生成のみならず、画像生成や3D生成、音楽生成、音声認識など多岐にわたっています。したがって、今回のこのChatGPTショックが意味しているのは、今後あらゆる分野で実用的な生成AIの開発競争が激化し、世界をがらりと変えてしまう。そうした大きなパラダイムシフトの始まりだということなのです。それは、いいことばかりではありません。生成AIを悪用する連中もたくさん出てくるでしょうし、あらゆる業種にわたって多くの仕事が必要なくなり、失業者が巷に溢れ、貧富の格差がますます広がる。そうした暗い未来がやってくる危険性も指摘されています。
そこで今回は、生成AIに造詣の深いAIREV株式会社代表取締役CTOの森岡幹さん、デジタルハリウッド大学大学院教授の橋本大也さん、株式会社テクノコア シニアエディター/コミュニティストラテジストの松尾公也さん、Croquet Corporation 共同設立者の大島芳樹さんとともに、ChatGPTショックとは何なのか、そして今後、生成AIは世界をどのように変えていくのかということについてディスカッションしていきたいと思います。

GDS021_ITday Japan 2022_人類は今、直面する危機をジョブズに学んで克服できるか? 開催報告

2022年12月10日(土)、「Global Digicon Salon 021 ITday Japan 2022〜人類は今、直面する危機をジョブズに学んで克服できるか?」を開催しました。
こちらが当日の記録映像です。↓
 
「IT Day」とは「IT革命記念日」のことです。1968年12月9日にダグラス・エンゲルバートが「The Mother of All Demos(すべてのデモの母)/The DEMO」と呼ばれる歴史的なデモンストレーション、「人々の知性を高め、人々の協力を促進し、人類が直面する深刻な問題を解決するためのNLS(oN-Line System・オンラインシステム)」というデモンストレーションを行い、それがIT革命の出発点となったったことを記念して、2018年にインターネット商用化50周年・The DEMO50周年を記念した「IT25・50」シンポジウムを開催して以来、毎年この時期に開催しています
冒頭、この1年の世界動向を振り返りましたが、2022年は地球温暖化、コロナ禍に加えて、ロシアがウクライナに侵攻したことで、エネルギー危機、電力危機、食糧危機に核兵器を使った第三次世界大戦の危機まで加わって、人類存続の危機は高まる一方の1年でした。
こうした中、今年の「ITday Japan 2022」では、「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズに学んで、直面する危機を克服できないか?」という観点からディスカッションしました。
初めに、モデレーターの髙木利弘が、自著『ジョブズ伝説〜アートとコンピュータを融合した男』新版( https://amzn.to/3UIiULS )でまとめた、ジョブズの発想法「禅システム思考(Zen System Thinking)」と、それを実践するための「CAS理論(Communication Amplifier System theory)」を紹介。社会をコミュニケーション・システムとして捉え、国家、軍隊、メディア、企業、学校、家庭という社会装置はいずれもCAS(Communication Amplifier System/コミュニケーション増幅システム)であり、それぞれのコミュニケーションのあり方(ゼロ・一方向・双方向)を分析することで、解決策をシンプルに導き出せるようになると述べました。戦争、暴力、殺人、命令、強制、いじめ、虐待、詐欺等々は、いずれも一方向コミュニケーションであり、それらが様々な社会問題の温床となっている。一方、人々を和解させ、協力を促進するのは、共感、感動といった双方向コミュニケーションであり、ジョブズは、それらを最大限に増幅するCAS、すなわちパーソナルコンピュータ、スマートフォンタブレットを次々と開発し、世界を変えました。サッカーW杯が示したように、人々の共感、感動、同期を増幅すれば、人々の心はひとつになり、それが経済活性化の原動力となる。私たちは、マネーがなければ何もできないという資本主義のドグマに洗脳されていますが、大事なのは共感を増やすということであり、「資本主義から共感主義へ」、これが未来のIT市民社会実現の鍵ではないか? ジョン・レノンは「ハッピー・クリスマス(戦争は終わった)」と歌いましたが、すべての戦争を終結できる唯一の方法は、世界中の人々が心をひとつにし、力を合わせて一斉に「戦争反対」の声を上げることなのではないかと述べました。
続いて、ジョブズビル・ゲイツダグラス・エンゲルバートアラン・ケイをはじめ数多くのITリーダーたちを撮影してきた写真家・メディアプロデューサーの小平尚典さんが、龍安寺の石庭をバックにそれぞれの撮影秘話を語りました。『ジョブズ伝説』新版の表紙を飾ったジョブズの写真は、1989年、日本でネクスト発表会をした時のもので、その眼光の鋭さは永遠に見る者すべてに強烈なインパクトを与えます。ゲイツの写真では、インタビュアーは孫正義だったこと、そして、インタビューを終えるとすぐに商談に入ったという歴史的なエピソードを紹介しました。
デジタルハリウッド大学大学院教授の三淵啓自さんは、アルビン・トフラーの『第三の波』を引用して、イノベーションが社会構造や人々の意識を変える。トフラーは、第一の波である農業革命、第二の波である産業革命を経て、第三の波である情報革命では、持続可能な社会へのパラダイムシフトが求められると指摘していた。情報革命は、デジタル革命、インターネット革命、ソーシャル革命を経てバーチャル革命の段階に入りつつあり、3Dインタースペース、互換デバイス、物質化技術、ロボティックスなどにより、仮想から現実体験へというイノベーションが起きている。ジョブズが生きていたら、それをどう社会に還元するかを考えたのではないかといったことを語りました。
大谷和利さんは、ジョブズから学ぶとすればスタンフォード大学卒業祝賀スピーチがいいでしょうと述べ、「未来はどうなるかわからない。だから点と点をつなげる」「ビジョンと現実の間を埋める不断の努力」「子どもの才能をつぶさない家庭教育の重要性」「見聞を広げて組み合わせを考える大切さ」「大型コンピュータによる情報の占有化vs.パーソナルコンピュータによる情報の民主化」「パーソナルからインターパーソナルへ」「戦略を倣い戦術を考える」といった学びのポイントを挙げました。
林信行さんは、iPodと同時期のソニー製品を対比し、ちゃんとビジョンをデザインし人々を魅了した製品と、ただ単に機能を詰め込んだだけで魅力のない製品の違いを説明。ジョブズは、有名な「Think Different」の詞の中で一行だけ、「They pushed the human race forward(彼らは人類を前進させた)」を加えてくれと言ったが、こうしたビジョンなしに、ただ便利だからとか儲かるからとかという考え方がデストピアにつながっている。マクルーハンは、芸術は社会的・精神的危険の兆候をいち早く発見でき余裕をもってそれに対処する準備ができるようにしてくれる危険早期発見装置であると言ったが、今のような危機的状況にこそ、芸術が重要な役割を果たすのではないかといった話をしました。

 

12/10(土)10-12時「 ITday Japan 2022〜人類は今、直面する危機をジョブズに学んで克服できるか?」開催

日本時間(JST)で2022年12月10日(土)10:00〜12:00、米国西海岸時間(UTC-7)で2022年12月9日(土)17:00〜19:00、第21回めとなる 「グローバル・デジコンサロン 021  ITday Japan 2022〜人類は今、直面する危機をジョブズに学んで克服できるか?」を開催します。
お申し込みは、こちらから(参加費無料です)↓
 
「IT Day」とは、「IT革命記念日」のことです。1968年12月9日、ダグラス・エンゲルバートが「The DEMO」、すなわち「人々の知性を高め、人々の協力を促進し、人類が直面する深刻な問題を解決できるようなコンピュータ・ネットワーク」というデモンストレーションを行い、それがIT革命の出発点となりました。私たちは2018年12月10日(日本時間)に、インターネット商用化25周年、ダグラス・エンゲルバートThe DEMO50周年を記念して、アラン・ケイ基調講演「IT25・50」シンポジウム( http://it2550.net/news/190522_alankay_keynote_j3/ )を開催して以来、毎年12月、「IT Day」と題したシンポジウムを開催してきました。「The DEMO」54周年にあたる今年は、「人類は今、直面する危機をジョブズに学んで克服できるか?」というテーマで行います。
今年、2022年は、コロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻により、核戦争の危機が現実味を帯びるとともに、エネルギー・電力・食糧危機をはじめ深刻な経済危機が世界中を覆い尽くす一年になりました。本来であれば、各国が協力して国連総会が採択したSDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)の実現に注力しなければならないほど、人類の危機が差し迫っているにもかかわらず、協力するどころか対立を深め、解決の糸口はまったく見えません。
こうした中、私たちは「世界を変えた男 スティーブ・ジョブズ」(ジョブズが亡くなった2011年にNHKが放送した追悼番組のタイトル)に学んで、人類が今、直面する危機を克服することはできないか、ディスカッションすることにしました。ジョブズが世界を変えたこと。そして、アップルを時価総額世界一企業に育て上げたこと。これは、まぎれもない事実です。モデレーターの髙木利弘は先月、『ジョブズ伝説〜アートとコンピュータを融合した男』新版( https://amzn.to/3UIiULS )を電子出版し、ジョブズの創造性を「CAS理論(Communication Amplifier System Theory)」という形にまとめました。これは、「パーソナルコンピュータの父」アラン・ケイの「コンピュータはコミュニケーション・アンプリファイア増幅器)である。あらゆる業界は、コミュニケーション業界である」という言葉に触発されたものです。社会を「コミュニケーション・システム」として捉え、その活動の原動力が「コミュニケーション・アンプリファイア増幅器)」というツール、システムであるということ。そして、その性能の良し悪しが社会のあり方と深く関係し、その進化が社会変革に直結しているという考え方です。たとえば、メディア、企業、教育機関、国家は、いずれも「コミュニケーション・アンプリファイア増幅器)」です。
ジョブズは、誰もが直感的に操作できるパーソナルコンピュータ、Macintosh1984年に発売し、CM「1984」によって「1984年は小説『1984』のようにはならない」と高らかに宣言しました。これは、「一般の人々がコンピュータという道具、武器を手にすることによって、独裁者が人々を洗脳し、支配する専制国家から解放する」未来を示唆していました。そして、実際に2007年に発売したiPhoneは、人々がいつでもどこからでも世界と直接つながり、コミュニケーションできる世界を実現し、世界各地で沸き起こる人々の抗議活動の原動力となり、大きな社会変革をもたらしています。
今回は、写真家・メディアプロデューサーの小平尚典さん、デジタルハリウッド大学大学院教授の三淵啓自さん、フリーランス ITジャーナリスト兼コンサルタント林信行さん、テクノロジーライターの大谷和利さんとともに、どうすれば人々の知性を高め、人々の協力を促進し、人類が直面する深刻な問題を解決できるような「コミュニケーション・アンプリファイア・システム」をデザインすることができるか、議論していきたいと思います。

「パーソナルコンピュータの父」Alan Kay 論文発表50周年記念シンポジウム開催

2022年8月21日(日)、「Global Digicon Salon 020 


〜あらゆる年齢の子供たちのためのパーソナルコンピュータ」の歴史的意義〜」を開催しました。
こちらが当日の記録映像です。
最初にモデレータの髙木利弘が、今から50年前の1972年に「パーソナルコンピュータの父」Alan Kayが発表した論文「A Personal Computer for Children of All Ages(あらゆる年齢の子供たちのためのパーソナルコンピュータ)」が、いかに世界を変えたかを解説。もし、この論文がなければ、MacintoshWindows 95iPhoneiPadも存在しなかった。そして、Alan KayDynaBookはまだ完成していないと言っているが、それはどういうことか? 私たちはAlan Kayをどう継承していったらいいか? といったについて議論をしていきたいと述べました。次いで、現在もAlan Kayと一緒に仕事をしているCroquet Corporation共同設立者の大島芳樹さんが、3Dメタバース空間でリアルタイムでプログラミングできるCroquetは、Alan Kayの思想を継承したものであること。Alan Kayの卓越性は、パーソナルコンピュータを「本」に例え、単なる道具ではなく新しいメタメディアであると考えていたところにあると指摘。続いて、Smalltalkファンであり、アマチュアGUI史・オブジェクト指向史研究家の鷲見正人さんが、Altoが10〜15年先取りしたハイスペックの「タイム・マシン」で、その上でSmalltalkで、思うぞんぶん「未来のパーソナルコンピュータ」を想定したGUIオブジェクト指向言語の開発実験をしていたことなど、暫定的DynaBook開発秘話について詳細に解説。元『日経パソコン/日経MAC』編集長の林伸夫さんは、Alan KayApple Fellow時代にPraygroundのプロジェクトを進めていて、それが現在のiPad版Swift Playgroudsにまで繋がっていること。Alan Kayが、今やハードウェアの完成度は高いが、サービスがまだできていないと指摘していたこと。2100年ごろに本物のコンピュータ革命がやってくるだろうと予言していたことなどを紹介。テクノロジーライターの大谷和利さんは、「UXの文脈で考えるAlan Kayの功績」という観点から、論文の歴史的意義を解説。Apple Fellow時代にUX(ユーザー体験)という言葉を発明したDon Normanは、しばしば同時期、同じApple FellowだったAlan Kayと対立していた。Don Normanが優れたUXを確立すれば、誰もが直感的かつ簡単に目的を達成できるようになると考えたのに対して、Alan Kayはユーザーが道具の持つポテンシャルを最大限に引き出して目的を達成できることを最も重視。とりわけ若年層のユーザーに与えるべき体験の重要性を説いていた。UXには、こうした視点が欠落している。最後に、髙木利弘が、日本を代表するメディア学者、故浜野保樹氏の『ハイパー・メディアギャラクシー』に書かれていた「コンピュータはコミュニケーション・アンプリファイアである。あらゆる業界はコミュニケーション業界である」というAlan Kayの言葉に触発され、人間社会をコミュニケーション・システムとしてとらえ、「コミュニケーション・アンプリファイア・システム」を設計するという発想で製品やサービスを開発することが重要ではないか? 実際にSteve Jobsが世界を変え、Apple時価総額一位企業にまで成長させることができたのは、この極意を会得していたからではないか? と述べ、これを「CAS(Communication Amplifier System)理論」と名付け、発展させていくことが、Alan Kayを継承するひとつのあり方ではないかという問題提起をしました。
以下は、関連URL、プレゼン資料です。
 
■A Personal Computer for Children of All Ages
 
■A Personal Computer for Children of All Ages(日本語訳)
 
■IT 25 · 50 Symposium “Alan Kay Keynote(日本語字幕付)
 
■プレゼン資料_Presentation materials
01_220821_GDS020_ AlanKay50th_Presen_P.key.pdf
 
02_220821_GDS020_Alan Kay_Ohshima Yoshiki.pdf
 
03_220821_GDS020_Alan Kay_Sumi Masato.pdf
 
04_220821_GDS020_Alan Kay_Hayashi Nobuo.pdf
 
05_220821_GDS020_Alan Kay_Otani Kazutoshi.pdf
 
これまでのGlobal Digicon Salonの記録はこちらにあります。
■ITday Japan

8/21(日)「パーソナルコンピュータの父」Alan Kay論文発表50周年記念シンポジウム開催

日本時間で2022年8月21日(日)10:00〜12:00、米国西海岸時間で2022年8月20日(土)18:00〜20:00、第20回めとなる 「グローバル・デジコンサロン 020「パーソナルコンピュータの父」Alan Kay論文発表50周年記念シンポジウム〜「あらゆる年齢の子供たちのためのパーソナルコンピュータ」の歴史的意義〜」を開催します。
お申し込みは、こちらから(参加費無料です)↓

今から50年前の1972年8月、「パーソナルコンピュータの父」Alan Kayは、論文「A Personal Computer for Children of All Ages(あらゆる年齢の子供たちのためのパーソナルコンピュータ)」を発表しました。当時は、大型コンピュータの全盛期で、今日では当たり前となったパーソナルコンピュータも、スマートフォンも、タブレットも、誰も実現できるとは思っていなかった時代です。そんな時代に、ゼロックスパロアルト研究所で研究をしていたAlan Kayは、「将来、コンピュータは誰でも、たとえ子供であっても使えるような簡単に操作できるものとなり、ちょうど私たちが本を持ち歩くようにタブレット・サイズにまで小さくなり、ワイヤレスでネットワークに接続して、どこへでも持ち運べるようになる」という驚くべき予測をし、これを「ダイナミックな本」という意味で「Dynabookダイナブック)」と名づけたのでした。
そして、AltoというミニコンピュータSmalltalkというプログラミング言語を用いて「暫定的ダイナブック」というプロトタイプを開発。1979年、その「暫定的ダイナブック」を見たスティーブ・ジョブズは、「なんてすごいものを開発したのだ。君たちは何故、これを製品化しないのだ!」と驚き、1984年、マウスを使って誰でも直感的に操作することができる、いわゆるGUI(グラフィカル・ユーザーインターフェイス)を搭載した、世界初の商用パーソナルコンピュータ、Macintoshを発売したのでした。そして、1995年、マイクロソフトWindows 95を発売したことで、GUIベースのパーソナルコンピュータが世界標準となりました。
私たちは、ともすればパーソナルコンピュータとスマートフォンタブレットを別の製品と思いがちですが、実はいずれも基本的な仕組みは全く同じで、Alan Kayが予測したパーソナルコンピュータが姿形を変えたものなのです。では、それらのパーソナルコンピュータは、Alan Kayが未来の理想的なパーソナルコンピュータとして描いたDynabookを超えることができたのでしょうか? 答えは「NO」です。世界を変えた歴史的論文発表から50年経った今でも、私たちはAlan Kayの未来ビジョンを超えることができないでいます。
たとえば、スマートフォンの爆発的普及は、さまざまな深刻な社会問題を引き起こしていますが、Alan Kayはこれを「商業主義が撒き散らした原爆よりも危険な凶器」といって強く批判しています。また、私たちは今、Web3だ、メタバースだ、NFTだ、ブロックチェーンだと言って騒いでいますが、それらは人類史の中で「本」が果たしてきた歴史的貢献と比較して、一体どれほどの歴史的貢献をするものなのでしょうか? Alan KayDynabookは、まさにこの問いに答えられるものなのです。
今回のGlobal Digicon Salonでは、Alan Kayがビデオメッセージを寄せてくれるとともに、Alan Kayと長年一緒に仕事をしてきたCroquet Corporation共同設立者の大島芳樹さん、Smalltalkの熱烈なファンにしてアマチュアGUI史・オブジェクト指向史研究家の鷲見正人さん、IT革命史に造詣の深い元『日経パソコン』『日経MAC』編集長の林伸夫さん、数々のアップル関連、IT関連の著書・訳書を手掛けてきたテクノロジーライターの大谷和利さんの4人にお集まりいただき、論文「A Personal Computer for Children of All Ages(あらゆる年齢の子供たちのためのパーソナルコンピュータ)」の歴史的意義や、Dynabook Conceptの私たちの遥か先をゆく未来ビジョン、そして、Alan Kayの最も有名な言葉「The best way to predict the future is to invent it(未来を予測する一番いい方法は、自らそれを創ることである)」の深い意味などについてディスカッションしたいと思います。