12/9(月)「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」開催

「IT革命の父ダグラス・エンゲルバートのThe Demo 51周年記念
ITday Japan 2019 〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜
2019年12月9日(火)開催

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2019年12月9日(月)19:30〜21:00 「IT革命の父ダグラス・エンゲルバートのThe Demo 51周年を記念してデジコンサロン・スペシャル「ITday Japan 2019〜IT監視社会か? IT市民社会か? それが問題だ〜」シンポジウムを開催します。主会場は、東京・御茶ノ水デジタルハリウッド大学3F 駿河台ホールです。シンポジウムの参加費は無料です。シンポジウム終了後、懇親会(2,000円/当日受付支払い)を開催します。お時間のある方は、ぜひご参加ください。参加お申込みは→ https://itday-japan-2019.peatix.com/ 。
併せて、日本各地、および世界各地へのYouTube Liveを用いた配信、および、Zoomなどを活用した相互接続も予定しています。詳細についてのお問合せは、こちら(http://itday.net/ask/)にお寄せください。

■「ITday」とは?
「ITday」は、ダグラス・エンゲルバートの「The Mother of All Demos(すべてのデモの母)/The Demo(ザ・デモ)」を記念する世界的なシンポジウムです。1968年12月9日、ダグが「人間の知性を高める研究の核心」というテーマで行なったThe Demoは、その後のパーソナルコンピュータ、インターネットの源流となり、IT革命の出発点となりました。そして、ここが重要な点なのですが、現状のITはまだまだ問題だらけで、ダグが考えていた「人間の知性を高める」レベルのものに達していません。そこで、私たちは毎年12月9日を「ITday(IT記念日)」と定め、全世界で一斉に「ITdayシンポジウム」を開催し、「どうすれば人間の知性を高めるITを開発できるか?」ということについて議論するととともに、そうした優れたITを活用して、実際にみんなで理想的な未来社会「IT市民社会」を創造していきたいと考えています。こうした「ITday」の活動趣旨に賛同される方は、ぜひご参加ください。当日は、The Demoのビジョンを再確認するとともに、以下の3つのソリューション提案を行い、具体的なシステム開発を目指します。
①断片情報しか発信できないチラシWWWから価値ある知識を配信できるブックWWWへ
②知性を高める「本」と「ノート」と「会話」をデザインする
③AIプッシュ配信でコミュニケーションを活性化する

公式サイト:ITday(http://iitday.net/
公式サイト:IT25・50(http://iit2550.net/

日 時:2019年12月9日(月)19:30~22:00(受付開始 19:20)
    19:30~21:00 シンポジウム
            高木利弘(株式会社クリエイシオン)
            服部桂(ジャーナリスト)
            園田智也(ウタゴエ株式会社)
    21:00〜22:00 懇親会
場 所:御茶ノ水 デジタルハリウッド大学駿河台キャンパス駿河台ホール
東京都千代田区神田駿河台4-6 御茶ノ水ソラシティ アカデミア デジタルハリウッド大学 3F
ご注意)御茶ノ水ソラシティ正面右側「PRONTO」脇の入口から入ります。
JR「御茶ノ水駅」(聖橋口)より徒歩1分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」直結、
丸ノ内線御茶ノ水駅」より徒歩4分
定 員:150名(定員になり次第、締め切らせていただきます)
募 集:シンポジウム+懇親会(2,000円)※当日受付支払い
    シンポジウムのみ(無料)

■米中貿易戦争、香港デモ、「気候のための学校ストライキ
2019年、世界的に大きな話題となったのは米中貿易戦争と香港デモ、そして「気候のための学校ストライキ」でした。
米中貿易戦争と香港デモは、中国「IT監視社会」の恐怖の実態を明らかにしました。政府がAI監視カメラ、電子マネー、信用スコアなどIT先進技術を駆使して、全市民の思考・行動を徹底的にコントロールする。ジョージ・オーウェルが小説「1984」で予言したディストピアが、ITによってさらに強化され現実化しようとしているのです。
一方、2018年8月、スウェーデンの女子高生グレタ・トゥーンベリがたったひとりで始めた「気候のための学校ストライキ」は、TwitterInstagramなどSNSを通じてたちまち拡散し、2019年9月、国連気候行動サミット前日には世界150国で若者を中心に数百万人がデモ行進するまでに発展しました。

■街頭デモだけで問題解決をすることはできない
香港デモと「気候のための学校ストライキ」。このふたつには共通点があります。それは、多くの若者が街頭デモに参加し、大人の理屈に対して「NO」を突きつけていることです。「あなたたちは絶対に間違っている。私たちの未来を盗んでいる!」
どうして私たちはこんな状況に陥ってしまったのでしょうか? そもそも、ITは現代社会が抱えるさまざまな問題を解決してくれる希望の星だったはずです。ところが、今や反対に最悪の事態を招く元凶になってしまっている。グレタの天敵、トランプ大統領を誕生させたのもTwitterに代表されるITです。
原因は、政府やプラットフォーマー、投資家がITの圧倒的なパワーを独占していて、自分たちの目先の利益を優先させているからです。「お前たちの未来なんか知るか! 俺の利益ファーストだ!」と。
それに比べると、一般市民がITから受けている恩恵はほんのわずかです。一般市民は圧倒的に無力で、街頭デモをする以外の手段を持っていません。そして、街頭デモだけで問題解決をすることは絶対にできないのです。

■個人個人の知性を高め、高めた知性を結集して問題解決をはかること
では、どうすればいいのでしょうか? その答えは、一般市民がITでパワーアップすることです。
街頭デモを過激化しても仕方がないことは、50年前の学生運動が証明しています。ヘルメットを被り、ゲバ棒を振り回し、石を投げても、社会を変えることはできなかったのです。当時、多くの若者が学生運動に参加し、挫折し、転向してゆきました。
そうではなく、一般市民ひとりひとりが自ら考え、行動し、協力して問題解決をする。そのパワーをITを活用して格段に高め、実際に問題解決をすることです。
個人個人の知性を高め、高めた知性を結集して問題解決をはかる。その重要性を世界で初めて説き、具体的にその方法を示したのがThe Demoでした。

■ビッグ・ブラザー vs. パーソナルコンピュータ革命
The Demoは、まず「パーソナルコンピュータ革命」の出発点となりました。そのシンボルが、ダグが発明したマウス(コンピュータ・マウス)でした。当時、コンピュータといえば大型コンピュータのことで、政府や大企業が独占していました。非常に高価なもので、操作が難しく、プログラミング言語を習得した専門家以外操作できないものでした。
それが、マウスを使えば誰でも簡単にコンピュータを操作することができるようになる!!
The Demoの成果は、「パーソナルコンピュータの父」アラン・ケイの「ダイナブック・コンセプト」に引き継がれ、MacintoshWindows 95(パソコン)、iPhoneスマートフォン)、iPadタブレット)の発明へと繋がってゆきます。そして、今なお「パーソナルコンピュータ革命」は続いているのです。
特筆されるのは、1984年、世界初の商用パーソナルコンピュータMacintoshが、CM「1984」とともに登場したことです。
Macintoshは人々をビッグ・ブラザーの支配から解き放つ。だから、1984年は小説「1984」のようにはならない」。

■IT武装したビッグ・ブラザー vs. パーソナルインターネット革命
しかし、どうでしょう? 私たちは今、パーソナルコンピュータも、スマートフォンも、タブレットも持っています。にもかかわらず、ITによってよりパワーアップしたビッグ・ブラザーに支配される「IT監視社会」の脅威にさらされているのです。
どうすればいいか? 答えは明らかです。
ビッグ・ブラザーがITによってパワーアップしているのであれば、一般市民もまたITによってそれ以上にパワーアップしなければならない。「パーソナルコンピュータ革命」の次に必要なのは「パーソナルインターネット革命」です。なぜなら、確かに私たちはデバイスは手に入れましたが、そのデバイスの先にあるインターネットはまだぜんぜん自分のものにできていないからです。そして、インターネットはIT武装したビッグ・ブラザーの領土になりつつあるのです。

■目指すべきは「オンライン・マルチユーザー・コラボレーション・システム」
では、「パーソナルインターネット革命」は、具体的にどう進めればいいでしょうか?
1968年の時点で、The Demoがその答えを出していました。
ダグは、「人間の知性を高める研究の核心」というテーマを掲げ、90分にわたってNLS(oN-Line System)というオンライン・マルチユーザー・コラボレーション・システムのデモンストレーションをしたのです。オンラインで人々の知性を高めコラボーレションできるシステムを設計し、みんなで力を合わせて、私たちが直面する様々な問題解決をする。まさに、これこそがインターネットの進むべき未来の理想型に違いありません。

■私たちの未来は個人個人の知性を高められるかどうかにかかっている
未来の理想的なインターネットに比べて、現在のインターネットはどうでしょうか?
まったくといっていいほど理想から遠いことがわかります。ヘイトやフェイクが蔓延し、協力しあうのではなく、敵対・分断を煽るだけ煽る。人間の知性を高めるどころか人間の知性を低める方向に進んでいってしまっています。そして、最大の問題は、世界中でヘイトとフェイクを意図的に拡散する勢力が政権を握り、ITを活用して国民をコントロールしようとしていることです。中国だけではありません。日本を含め世界中の国々でそうした傾向が見られるのです。
私たちは今、「IT監視社会」か「IT市民社会」かの分岐点に立っています。そして、どちらの方向に進むか、私たちの未来は、個人個人の知性を高められるかどうかにかかっているのです。

■3つのソリューション提案をします
「ITday Japan 2019」では、私たちが直面する課題解決のために以下の3つのソリューションを提案し、具体的なシステム開発を目指します。
①断片情報しか発信できないチラシWWWから価値ある知識を配信できるブックWWWへ
②知性を高める「本」と「ノート」と「会話」をデザインする
③AIプッシュ配信でコミュニケーションを活性化する
現在のインターネットの最大の問題点は、断片的な情報がなんの脈絡もなく膨大に飛び交っていることです。しかも、その中からどれを選ぶか、どの情報が正しいか、価値があるか、安全かどうかといった一切の判断を、すべてユーザーが自分自身でやらなければなりません。この状況は、明らかにユーザーとって負荷が大きすぎます。もっとユーザーの負荷を軽減し、安全安心快適にインターネットを活用できるような劇的なイノベーションが必要です。
第一に改善すべきは、断片的な情報のフローばかりでなく、きちんと整理され付加価値の高い知識のストックにアクセスできるようにすることです。どうすればいいか? そのヒントは「本」にあります。本の構成要素、「表紙」「目次」「本文」「脚注」「索引」「奥付」は、すべて任意の情報への効率的なランダムアクセスを実現するITです。そして、「図書館」もまた、本を体系的に整理し、任意の情報への効率的なランダムアクセスを実現するITなのです。
これに対して、現在のWWWは、膨大なファイルを未整理なままハイパーテキストリンクしたものであり、いわば膨大なチラシの集合体のようなものです。チラシの集合体のままでは、断片的な情報は扱えてても、体系的な知識を扱うことができません。したがって、私たちが体系的な知識をシェアできるようになるためには、まずはWWWがチラシ型からブック型へと進化する必要があります。
第二に、人間の知性を高めるためにはどうすればいいか? その答えは、私たちがどのようにして知性を身につけてきたかを考えれば、一目瞭然です。鍵を握っているのは、オンラインにおける「本」と「ノート」と「会話」のベストなコンビネーションです。
第三に、ユーザーの負荷を軽減し、安全安心快適にインターネットを活用できるようになるためには、個人個人の知識活動やコラボレーションをサポートするようなAIアシスタントが必要です。将来的には、アップル社が1988年に発表した「ナレッジナビゲーター」に出てくるような、優秀なエージェントの開発を目指すべきでしょう。

 

シンポジウム パネリスト

高木利弘(たかぎ としひろ)
株式会社クリエイシオン代表取締役。1955年生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1985年NTTキャプテンシステム情報誌『CaptainPedia』創刊。1986年、日本初のMacintosh専門誌『MACワールド日本版』創刊。1987年、『MACLIFE』 創刊。1999年、「人工知能を活用した知識の循環システム(Knowledge Circulation System with AI)」Kacis Writer/Kacis Publisher開発。「ソフトウェア・プロダクト・オブ・ザ・イヤー2001」(SOFTIC)を受賞する。2017年、米国『WIRED』創刊編集長ケヴィン・ケリー著『<インターネット>の次に来るもの』(NHK出版)をベースにした12回連続の「ホロス2050未来会議」を開催。2018年、次世代教育プラットフォーム構築を目指す知の冒険カードゲームColleCard「IT25・50」を発売。2018年12月10日、インターネット商用化25周年、ダグラス・エンゲルバートThe DEMO 50周年を記念してアラン・ケイ基調講演「IT25・50」シンポジウムを開催する。主な著書は、『Mac OS X Serverパーフェクトガイド』『Kacisでサクサク文書作成』『The History of Jobs & Apple』『ジョブズ伝説』『スマートTVと動画ビジネス』など。


服部桂(はっとり かつら)
1951年生まれ。早稲田大学大学院理工学研究科で修士号を取得後、1978年に朝日新聞に入社。87年から2年間、米MITメディアラボ客員研究員。科学部を経て、出版局で『ASAHIパソコン』副編集長、『DOORS』編集委員、『PASO』編集長。94年に新聞紙面で初のインターネット連載。2011年から同社ジャーナリス ト学校シニア研究員。著書に『人工現実感の世界』『人工生命の世界』『マクルーハンはメッセージ』など。訳書に『ハッカーは笑う』『人工生命』『デジタル・マクルーハン』『パソコン創世「第 3の神話」』『ヴィクトリア朝時代のインターネット』『謎のチェス指し人形ターク』『チューリング 情報時代のパイオニア』 『テクニウム テクノロジーはどこへ向かうのか?』『<インターネット>の次に来るもの』等。「IT25・50シンポジウム」発起人のひとり。


園田智也(そのだ ともなり)
ウタゴエ株式会社代表取締役社長。1975年生まれ。1998年早稲田大学理工学部卒業。在学中に音声認識技術を応用した「歌声による曲検索システム」で国内外の特許を取得。2001年、早稲田大学 大学院理工学研究科博士後期課程に在学中、うたごえ有限会社を設立。2003年8月に株式会社へ改組。2007年、シリコンバレーに米国オフィスを開設。現在、主力事業はスマートフォンアプリ「瞬間日記」で 、世界200カ国以上で累計3000万ダウンロードを突破。スマートスピーカー用の音声による「ひとこと日記」のほか、深層学習・敵対生成ネットワーク(GANs) を応用した音声認識音声合成、株価予測、画像処理、ゲーム思考エンジン等の機械学習サービスを提供。2018年2月、株式会社ユーザーローカルと自動車画像加工AIライブラリを共同開発する。2018年、株式会社クリエイシオンと AIを活用した最先端の物体認識アプリ「ColleCard」を共同開発。学習カードゲーム「ColleCard」にかざすと関連Webサイトにジャンプするほか、さまざまな物体をカードコレクションして楽しく遊び、学べるサービス開発への道を切り開く。(http://www.utagoe.com/jp/