林信行氏講演「第196回 デジコンサロン “iPhone 10年目”の先に待ち受ける未来」開催

 2016年12月15日(木)19:00より、御茶ノ水デジタルハリウッド大学院で、「第196回 デジコンサロン “iPhone 10年目”の先に待ち受ける未来」を開催しました。講師は、著名なApple&ITジャーナリストであるとともに、最近は「ステキな未来」をキーワードに、とりわけファッション、教育、ヘルスケアの3領域での活動が増えているという林信行さん。

 講演は、ミラノ、トリエンナーレ美術館で開催された、石器時代から人工知能の時代へと変遷していく人々の活動と欲望の歴史を100の道具と動詞の組み合わせで表現した展覧会「NEO PREISTORIA 100 Verbi:新・先史時代 100の動詞」から説き起こし、人類が辿ってきたのは、「まずは我々が道具を作り、やがて道具が我々を作りはじめる」(マクルーハン)歴史であったこと。「コンピュータは、我々人類の頭脳に、動物界で最も移動エネルギー効率の高いコンドルよりもはるかに優れたパフォーマンスをもたらす“知的自転車”である」と考えていたジョブズが、2007年1月にiPhoneを発表し、その際に「時折、革命的な製品が出てきてすべてを変えてしまう」と表現したとおり、iPhoneiPadといったスマートデバイスが、この10年間に農業や漁業を含めあらゆる業界に非常に大きな変革をもたらしてきたこと。そして、2016年は、自身が「21世紀の3大元素」と呼ぶ「スマートテクノロジー」「ソーシャルテクノロジー」「3Dテクノロジー」が本格的に出揃った面白い年であったこと。人工知能は、すぐになんでも習得してしまい、休みなく学習し続けるので、いつか人間の能力を抜き去ってしまう、いわゆる「2045年シンギュラリティ問題」は避けられないが、人と人との関わり合いでは、効率性だけがすべてではない。その行為にまつわるストーリー性とか、存在感、文化など非効率なところが重要で、そこは人工知能が関わりえない部分であるということ。

 そして、最後に、本来の豊かさを忘れてデジタル化・効率化を進めると、文化の後退を招くだけである。20世紀の「不器用なテクノロジー」が、「大量生産大量消費(大量廃棄)」型で、「経済合理性」を追求するあまり、「画一的」で「非人間的」な社会を形作ったのに対して、21世紀のテクノロジーに期待されるのは、「適量生産」「人間性の尊重」「多様性の尊重」であり、「いずれどんな夢も現実になる以上、誰かがいい夢を見ていかなければならない」と結びました。

 二次会は、いつもの「きやり」。楽しい会話に花を咲かせた後、みなさんで一緒に「集合写真」を撮りました。

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