「NHKクロ現+「夫婦の会話」を科学する」のとんでもないエセ科学

6/25(火)「クローズアップ現代+「夫婦の会話」を科学する~不満解消の秘訣は!?~」( https://www.nhk.or.jp/gendai/articles/4298/ )は、「脳科学言語学、AIを組み合わせてエセ科学を捏造するにはこうすればいい」という見本のようなひどい内容だった。 とりわけひどいと思ったのは、「ジョブズのプレゼンをAIが分析→主張の理由説明が多い→主張の理由説明が多い“ジョブズ型会話”は妻に嫌われる→ビジネスは「交換」(つまり、損得)、夫婦は「贈与」だから(と金田一秀穂が解説)」というめちゃくちゃな論理展開。 夫が愚にもつかない理由をくどくど言うこと=“ジョブズ型会話”と定義する根拠はどこにあるのでしょうか? NHKクロ現+スタップやブレーンの中に、ジョブズのプレゼンの持つ驚異的な「共感力」を理解できる頭脳を持った人間がいないことを証明しているにすぎないでしょう。 「夫婦の会話 シンクロランキング」も実に恣意的。「1位 直してほしいこと、2位 雑談、3位 きのう何をしていたか、4位 愚痴、5位 相談」という項目出し自体、「え? それしかないの?」というものだし、一般的に「直してほしいこと」の会話は諸刃の剣で、ひとつ間違えば、夫婦喧嘩の果てに離婚へと発展しかねない危険なテーマ。 これは一般的な会話術でもいわれることだけど、一番重要なのは「聞き上手」になることでしょう。 一方的に自己主張するのではなく、相手の興味関心や考え、悩みへの共感を、言葉だけでなく目線や身振り手振りを含め、心から表明することなはずです。 番組冒頭で紹介していたように、最近は、簡単に脳波を計測することができるようになり、いい関係の夫婦、いい会話をしている夫婦の脳は、共鳴、シンクロしている頻度が高いということがわかってきている。 「共感」とか「共鳴」とか「感動」とか、普段何気なく使っている言葉が、実は、脳や呼吸を含め全身の「シンクロ(同期)」に関係しているということが重要なわけで、言語だけでない広意味での「いいコミュニケーション」をいかにデザインするか、という方向に話を展開していくべきだったと思う。 繰り返しますが、「夫が愚にもつかない理由をくどくど言うこと=“ジョブズ型会話”」というのは、とんでもないでっち上げです。皆さん、NHKの番組だからといって、うのみにしないように気をつけましょう。

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