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ラスコー展とクラナーハ展

4日、上野に行って、ラスコー展とクラナーハ展をはしごする。
今から2万年前、真っ暗な洞窟の奥深くにまで入って、ランプの明かりを頼りに600頭もの動物を描いた人々がいた、ということの驚き。なんらかの呪術的な思いを込めて描いたのだろうけど、躍動感あふれる数々の動物の姿からは、描くことそのものの喜びみたいなものがストレートに伝わってきた。
クラナーハ展では、「ヴィーナス」「ルクレツィア」「ユディット」「正義の寓話」など、クラナーハならではのエロティシズム漂う作品群の素晴らしさもさることながら、ルターが起こした宗教改革の意味を生き生きと伝える「9月聖書」の挿絵を見ることができたのが最大の収穫だった。若き日のルターの精悍な顔つき、そして革命家らしい力強い風貌のルターとそれに負けず劣らず力強い風貌の妻カタリナ・フォン・ボラ(彼女は元修道女。当時も今も、カトリックの教義では、修道士と修道女の結婚はスキャンダル以外の何物でもない)の肖像画を見ることができたのも、すごくよかった。加えて、クラナーハがデューラーと双璧をなす銅版画の名手であったこと。お互いにお互いをライバル視しつつ、技術的にはデューラーのほうが上だが、作品に漂う色気という点ではクラナーハのほうが上手で、デューラーがそれに嫉妬していたらしいこと、そして、銅版画が出版技術ともども、思想や政治的主張の拡散に大いに役立つ、当時最先端のIT(インフォメーション・テクノロジー)であったということが、ビシビシと伝わってきた。